鋳物製品の調達コスト削減は、多くの企業にとって重要な課題です。
本記事では、2025年における鋳物業界の最新トレンドと、神栄株式会社産業資材部が実践する具体的な取り組みをご紹介します。
デジタル技術と自動化の導入
近年、鋳造業界ではデジタル技術や自動化の導入が進んでいます。
例えば、3Dプリンターを活用した試作品の内製化により、外注費の削減や無駄のない設計で生産性の向上が実現します。
また、IoTやAIを活用した生産管理システムの導入により、リアルタイムでの生産状況の把握や需要予測の精度向上が可能となり、在庫コストの削減や生産効率の向上につながります。
神栄では、IoTネットワーク構築により納期遅延を防ぐべく、日本と供給元(ベトナム・タイ)で生産計画や船積み管理などを随時共有し、リアルタイムで生産体制・物流の最適化を図っています。
また、協力工場では自動造型機を導入し、品質の安定化・適切な人員配置の体制を整えています。

原材料の効率的な活用
鋳鉄部品のコスト構造において、原材料費は大きな割合を占めます。
そのため、原材料の効率的な調達がコスト削減の鍵となります。
削減の具体例として、3Dを活用した部品設計で精度を向上させ、加工代を出来る限り少なくし、必要最小限のロスのない材料で加工を行うことで、無駄な加工時間を省き、材料費も大幅に削減することが可能です。
さらに、複数のサプライヤーとの長期的なパートナーシップを築くことで、鋳造技術の移転・向上による品質の安定化を図ることも重要です。
神栄の協力工場があるベトナム・タイ国内の鋳物の原材料は主に輸入に頼っています。
そのため、原材料費が高くなりがちですが、神栄の現地協力工場ではインドや中国などのベトナム・タイの隣接地域から原材料を調達し、輸送費を抑えることで、原材料費の低減を実現しています。

生産工程の最適化と省エネルギー化
生産工程の効率化や省エネルギー化も、コスト削減に直結します。
例えば、外注作業を減らし、自社で一貫生産体制を整えることで、モノの行き来をなくすことで、生産工程を最適化できます。また、日中に比べて電力が安価な夜に注湯を増やすことで、エネルギーコストを削減することが可能です。
神栄の協力工場でも夜間の工場稼働時間を増やし、エネルギーコストを削減しています。また、各工程の専門会社からトップレベルの作業員を派遣し、工程ミスを抑えながら、協力工場内での一貫生産体制の構築を行っています。さらに、出荷時には、自社用パレットを作成し、輸送コンテナ内の余白を出来るだけなくすことで、物流の最大限活用による輸送コストの抑制だけでなく、環境への配慮を行っています。

サプライチェーンの強化とリスク分散
サプライチェーン全体の効率化とリスク分散も重要なポイントです。複数のサプライヤーを活用することで、供給不安や品質問題のリスクを分散することで供給責任を果たすことが出来ます。
現在のベトナムでは11年前と比べ、技術水準が上がっていますので、例えば鋳物とゴムを熱溶着するなどの対応も可能です。様々なサプライチェーンとの取引を行うことで、多種多様の製品製造が可能になります。
神栄では新技術の導入にも、敏速かつ柔軟に対応し、日本品質を維持したまま、工場のレベルアップを図っています。

環境への配慮と持続可能な取り組み
ベトナムでは、日本でいう環境省のような機関が、定期的な工場への視察・監査を行うことで、従業員の安全衛生管理体制が向上しています。
具体例として、鋳造工場内では多くの煤塵が発生しますが、作業員の作業環境向上のために、工場内に集塵装置の設置を行ったり、換気頻度を上げたりの対応が行われています。また、省エネルギー設備の導入により、環境負荷の低減とコスト削減を両立することが可能です。
神栄の協力工場にも、集塵装置や適切な排気ダクトを設置し、従業員の作業環境向上を図っています。また、生産計画や船積み管理などの最適化、コンテナ内に隙間なく商品を積み込むこと等、コンテナ輸送の最大限の活用により、環境に配慮した取り組みも行っています。

神栄の戦略的取り組み
CHINA+ONE(チャイナプラスワン)戦略
中国に依存する調達先を多様化する戦略の一環として、「CHINA+ONE(チャイナプラスワン)」をスローガンに掲げ、タイやベトナムからの鋳物調達を提案。生産拠点の分散化によるリスクヘッジを行っています。現地の優れた協力工場と強固なパートナーシップを築き、日本の品質管理手法の現地への定着を実施。品質とコストの両面で競争優位性を確保しています。

戦略的な製造拠点の選択
ベトナム北部10社以上、南部3社、タイ1社の協力工場ネットワークを構築しています。製品特性に応じた最適工場へ生産を委託し、地域特性を活かすことで、製造コストの最適化を実現しています。

効率的な混載輸送システム
定期輸送体制を整え、最小ロット300kg(応相談)からの混載対応が可能。また、小ロット・多品種生産の対応を実施し、コストを抑えつつ、柔軟な輸送体制を整えています。

一貫生産体制の構築

現地品質管理体制の確立
日本人技術者による定期的な工場監査による歩留まり、不良発生の防止。
また、現地スタッフ常駐管理体制による不具合への即時対応、出荷前検査による不良品の流出防止することで高品質を維持しつつ、管理コストを抑えています。

現地の技術サポートの徹底
2025年3月で、神栄とベトナムの協力工場は取引開始から12年目を迎えます。
過去30年間で、中国での鋳物技術は飛躍的に向上したと言われていますが、神栄は中国での鋳物市場の成長を注視し、最新のトレンドを常に追従。
11年前の当時、鋳物の技術水準が低かった状態のベトナム協力工場に日本品質の理解と鋳造技術を定着させました。
5Sの徹底など基本的なことから、最新技術の導入等を通して、今後も現地と協力し、鋳物市場を牽引して参ります。

まとめ
鋳物業界では、調達コストの削減を目的に、以下のような最新の生産・調達戦略が取り入れられています。
- IoT・AIによる生産管理システムの導入:生産状況のリアルタイム把握により、需要予測の精度向上と在庫コストの最小化を実現。
- 3D設計技術の活用:設計精度の向上により、加工代や材料ロスを削減し、原材料コストの圧縮を推進。
- 長期的なサプライヤーパートナーシップの構築:安定した品質と継続的な供給体制を確保。
- 夜間稼働の強化による省エネルギー対策:電力単価の低い時間帯の活用で、エネルギーコストを低減。
- 複数のサプライヤー活用によるリスク分散:供給障害や品質問題への柔軟な対応を可能に。
- 作業環境の改善による安全衛生の向上:従業員の作業効率と品質意識を高め、全体最適化に寄与。
神栄における戦略的なコスト削減施策
神栄では、高品質を維持しながら調達コストを削減するための体制づくりを行っています。
- CHINA+ONE(チャイナプラスワン)戦略の推進:中国依存から脱却し、ベトナム・タイなどアジア諸国からの調達を強化。
- IoTネットワークの構築:日本と海外拠点(ベトナム・タイ)間で生産計画や出荷管理をリアルタイムで連携し、納期遅延や在庫ロスを防止。
- 製品仕様に応じた最適工場への生産委託:各協力工場の強みを活かし、高品質とコストの両立を実現。
- 混載便を活用した定期輸送体制の確立:小ロット・多品種対応とコンテナ内の空間最適化により、輸送コスト削減と環境負荷軽減を両立。
- 一貫生産体制の整備:鋳造・機械加工・塗装までを一気通貫で対応し、物流コストの削減と品質管理の一元化を推進。
- 現地管理体制の強化:日本人技術者の定期監査や現地スタッフの常駐により、品質トラブルを未然に防止。出荷前検査も徹底し、不良品の流出を防ぎます。
このように神栄では、グローバルな視点と最先端技術を融合しながら、お客様のコスト削減と品質向上の両立をサポートしています。
戦略的なコスト削減施策を提案いたします。
是非、お問い合わせください!

神栄株式会社は、ベトナム・タイのローカル協力工場から鋳物及び金属製品を輸入販売しております。
ベトナムから8年以上、タイからは約40年以上の輸入実績があり、豊富な経験を持つスタッフを多数有しています。
リスクヘッジとコストダウンとして、ベトナム・タイからの調達をご検討頂きますようお願いいたします。

今後も現地スタッフと連携し、引き続き貿易、生産、コスト低減、リスクヘッジなど、鋳物CHINA+ONEでお客様により良いサービスを提供できるように、努力をしていきたいと思いますので、是非、タイ、ベトナムにお越しの際は、現場の視察に足を運んで頂ければ幸いです!
