
鋳造と鍛造の違いとは?特徴・用途・メリット・デメリットをわかりやすく解説!
「鋳造(ちゅうぞう)」と「鍛造(たんぞう)」は、古代から続く主要な加工技術であり、現代社会においても様々な製品を生み出しています。
本記事では、鋳造と鍛造の違いについて、それぞれの定義、特徴、利点・欠点、そして製品設計における影響について解説します。
鋳造と鍛造の基本的な違い
鋳造と鍛造の最も基本的な違いは、金属の加工方法にあります。
鋳造は溶かした金属を型に流し込んで成形する方法である一方、鍛造は固体の金属を叩いて成形する方法です。この違いにより、製品の特性や用途も大きく異なります。
鋳造(ちゅうぞう)とは
鋳造は、金属を溶解し、予め準備された型(鋳型)に流し込み、冷却・固化させることで製品を作り出す加工技術です。
鋳造の主な特長
- 複雑な形状や大型部品の効率的な製造が可能
- 大量生産に最適
- 製造コストを大幅に削減できる

鋳造は、他の加工方法と比較して、複雑な形状の製品を比較的低コストで製造できる点が大きなメリットです。
特に、大量生産を行う場合には、型を繰り返し使用できるため、製造コストを大幅に削減することができます。
そのため、自動車部品や機械部品など、大量生産が必要とされる製品に広く採用されています。
代表的な鋳造製品
- エンジンブロック
- 建設機械の部品
- 装飾品

鍛造(たんぞう)とは
鍛造は、金属を加熱し、ハンマーなどで叩いたり、プレス機で圧力を加えたりすることで、目的の形状に成形する加工方法です。
鍛造の主な特長
- 高い強度と耐久性を持つ部品の製造
- 材料歩留まりが良く、廃棄物が少ない
- 緻密で均一な内部構造

鍛造は、強度や靭性に優れた製品を製造できるため、包丁や工具などの刃物類、エンジン部品、歯車、ボルト・ナットなど、高い強度や耐久性が求められる製品に適しています。
また、鍛造品は、金属組織が緻密で表面が滑らかになるため、耐摩耗性や耐腐食性にも優れています。
そのため、航空機や自動車、鉄道など、過酷な環境で使用される製品にも多く用いられています。
代表的な鋳造製品
- 自動車のクランクシャフト
- 航空機のエンジン部品
- 工業用機械の重要部品

鋳造と鍛造のメリットとデメリット
鋳造と鍛造は、それぞれに利点と欠点があります。
そのため、製品設計を行う際には、それぞれの特性を理解した上で、最適な加工方法を選択することが重要です。
鋳造のメリットとデメリット
メリット
- 複雑な形状の製品を製造可能: 複雑な形状や中空構造の製品の一体成形が可能です。
- 大型製品の製造が可能: 大型の製品でも比較的容易に製造が可能です。
- 大量生産に適している: 型を繰り返し使用できるため、大量生産に適しており、コスト削減が可能です。
デメリット
- 強度が低い: 鋳造では、内部に気泡や空洞が生じやすく、鍛造品に比べて強度が劣ります。
- 精度が低い: 鍛造に比べて寸法精度が劣り、後加工が必要となる場合があります。
- 材料の制約: 融点の高い材料や凝固時に収縮しやすい材料は、鋳造が難しい場合があります。
鍛造のメリットとデメリット
メリット
- 強度が高い: 金属組織が緻密で、強度や靭性に優れています。
- 耐久性や耐熱性が高い: 疲労強度や耐摩耗性、耐熱性にも優れています。
- 材料の無駄が少ない: 切削加工などが少なく、材料の無駄が少ない傾向にあります。
デメリット
- コストが高い: 鋳造に比べて、加工に時間とコストがかかります。
- 形状の制約: 複雑な形状の製品を製造するのが難しい場合があります。
- 寸法の制約: 大型製品の製造が難しい場合があります。
鍛造と鋳造の選択の具体例
製品設計において、鍛造と鋳造のどちらを選択するかは、製品の用途、要求される性能、コストなどを考慮して決定する必要があります。
例えば、自動車のホイールには、強度と軽量化の両方が求められます。
鍛造ホイールは、鋳造ホイールに比べて強度が高く、軽量であるため、走行性能や燃費の向上に貢献します。
一方、鋳造ホイールは、鍛造ホイールに比べてコストが安価であるため、コストパフォーマンスを重視する場合に適しています。

鍛造方法と鋳造方法の選択基準
鍛造と鋳造のどちらの加工方法を選択するかは、以下の基準を参考に決定します。
- 部品の用途と性能要求: 製品に求められる強度、靭性、耐久性、精度などを考慮。
- 製造コストと生産効率: 必要な数量、製造コスト、納期などを考慮。
- 材料の特性: 融点、凝固時の収縮率、加工性などを考慮。
まとめ
本記事では、鋳造と鍛造の違いについて解説しました。
それぞれの加工方法にはメリットとデメリットがあり、製品設計においてどちらを選択するかは、製品の用途や要求性能、コストなどを総合的に判断する必要があります。
最適な加工方法を選択することで、製品の性能を最大限に引き出しながら、コストを抑制することができます。
そのため、製品設計者は、鋳造と鍛造の特性を十分に理解し、適切な判断を行うことが重要です。

鋳造 | 鍛造 | |
---|---|---|
製造方法 | 溶けた金属を型に流し込む | 金属を圧縮して成形する |
強度 | 中程度 | 非常に高い |
形状 | 複雑な形状が可能 | シンプルな形状が基本 |
表面精度 | 比較的粗い | 高い |
コスト | 初期投資が低く、大量生産に向いている | 初期投資が高く、精密部品の少量生産に適している |
メリット | 複雑な形状の製造が可能 低コスト 大量生産に適している |
高い強度と耐久性 均一な材料特性 内部組織の改善 |
デメリット | 強度が鍛造に比べて劣る 表面仕上げが必要 気泡や不純物が生じやすい |
複雑な形状の製造が難しい 高コスト 大量生産には不向き |
主な用途 | エンジンブロック 建設機械の部品 装飾品 |
自動車のクランクシャフト 航空機のエンジン部品 工業用機械の重要部品 |
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